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入所者の方が不幸にしてお亡くなりになった場合、その葬儀において、担当した職員が園を代表して弔辞を読みあげます。このことは担当職員が誠心誠意勤めなければ、とうてい弔辞の文を作り読みあげることはできません。職員の気持ちが伝わった時の感激と、お世話させていただいた感謝の思いをあらわす弔文の一例をご紹介いたします。
 「絆」
ケアワーカー(介護福祉士)  永尾真由美
弔辞

 十時コマ様、担当としていつかはこんな日が来ると思ってはいたものの、こんなに悲しい気持ちでお名前を呼ぶことになるとは想像もできませんでした。

 私が十時様の担当になったのは、ぬくみ園に勤めて一年目の平成18年6月でした。そのころ、手の震えや気分の落ち込みに悩まされ「もう死ぬことは分っている」と悲しく言われていました。その時二人で約束しましたね。もしもその日が来たら、私が傍にずっとついていることを。そのとおりに最後の最後まで一緒に居ることができましたね。でも、私は今、悲しみと虚脱感でいっぱいです。

 今、目を閉じると、会った頃の十時様の顔が浮かんできます。
 部屋で「かごの鳥」を口ずさんで、私に気が付くとはにかんだ様に笑った顔。お花が大好きで、義理の妹様からのハイビスカスの花に毎日水をやり、「いつも良い花を送ってくれる」と微笑んでいた顔。ベッドに腰掛け、家計簿や俳句をノートに書いていて、私が見ると「ちゃんとせんとな」と云いながら笑った顔。敬老会の日に、お孫様よりプレゼントされたズボンを穿いて、何度も話してくれた嬉しそうな顔。何故か嬉しそうな顔ばかり浮かんできます。

 こんなこともありました。
 俳句の題材になればと園の坂の下まで車椅子で行った時、「あんたきついじゃろう」とすごく気にされていましたね。私はもっと甘えてほしかったです。
 ご主人を戦争で亡くされてから女一人で頑張って、頑張って、頑張ってきたのですね。人に迷惑をかけないよう、人の手を煩わせないようにと自分のことは自分でするという強い気持ちを持っていましたね。それは苦しい中、悲しい中にあっても、付き添う息子様、お孫様に「二人もいらん」と言われる気丈夫さで、最後まで、その生き方は揺るぐことがなかったですね。

 今月半ばより風邪をひかれ21日に急変し、直に息子様、奥様、お孫様、ひ孫様皆様駆けつけ、手を取り寄り添って懸命に励ましておられました。十時様もさぞ心強く嬉しかった事と思います。御家族様の深い愛情や絆を感じさせていただき、改めて感謝申し上げます。
 その甲斐あって、一時回復されたかのようにありましたが、25日朝、息子様が帰られてから様態急変され、また必ず回復出来るとの思いも届かず、理事長、園長、職員が見守るなか、平成22年7月25日、午後12時56分、穏やかな顔で旅立たれました。95歳の誕生日まであと5日でした。

 十時様、94年の長い人生ほんとうにお疲れ様でした。十時様から学ばせて頂いた数々の教えを生かし、この先巡り合う高齢者の方々に心を込めてお世話させて頂くことを、故十時コマ様の御霊前に御誓い申し上げます。たくさんの暖かい思い出をありがとうございました。そして、人生の仕上げをご家族様とともに出来ましたことに、心より感謝申し上げます。十時様のご冥福をぬくみ園すべての職員と共に心からお祈り申し上げ、お別れの言葉といたします。さようなら。


   平成22年7月27日
    高齢者福祉総合センター 温水園
    担当ケアワーカー  永尾真由美

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